【結論】インフォデミック: infodemic(information + pandemicの造語)に踊らされないように正しい知識を身につけよう
インターネットで情報を調べれば「それっぽい」情報がすぐ手に入ってしまうが、その正しさの検証は難しい
情報リテラシーを上げよう!自分でより正確なソースを調べる習慣をつけよう
信頼できるソースの情報を最大限活用しよう

より正確なソースとして、バックグラウンドがしっかりした施設(WHO, CDC, 厚生労働省など)の出した資料を参照されることを強くおすすめします。読む知識のある人は査読つき論文誌(できれば高インパクトファクター)からのソースも含められるでしょう。
不正確なソースとして、SNS(Twitter, Instagram, Facebookなど)や、インターネット記事、”専門家”のコメント、そしてテレビや新聞がそれに当たります。それぞれ正しい事を言っている場合ももちろんありますが、「ソース」としては不適格です。

また、日本のNGOが解説しているファクトチェック・イニシアティブというサイトは医療デマや偽科学の指摘に定評があるBuzzFeed Japan社も関わっており、具体的なデマの例とその反証を提示しているため非常に参考になります。
3月21日現在の状況
全世界(WHO) 患者数 +1日の増加(死亡者数): 267,013 +32940名 (11201 +1361名)
アメリカ合衆国(CDC): (26686 +7303名 (340 +84名)) ※CDC発表が土日はされないので参考値(Worldometer)
イリノイ州(IDPH): 753 +168名 (6 +1名)
日本(厚生労働省): 1007 +57名(35 +2名)
イリノイ州では本日3月21日5時より外出禁止令/自宅待機令(Stay at home order)が施行されます。カリフォルニア州が先んじて実行し、この数日で他にニューヨーク州、コネティカット州も施行されています。

全世界、およびアメリカ国内の患者数は指数関数的に増加し未だ終わりは見えていません。
コロナウィルスに関するデマはどんな物がある?
インターネットで容易に情報が集められるようになり、あらゆる病気に対して知識が簡単に得られるようになりました。その反面、多くのデマが見受けられます。このように不正確なインフォメーションが氾濫しパンデミックがさらにパニックを助長するような状態をインフォデミックと呼びます
デマを見破るのが難しいのはそれらが「後から見たら正しいかもしれない」内容を含んでいる為です。
例を挙げましょう。
1.コロナウィルスは熱に弱く、26-27度のお湯を飲むと殺菌効果がある>デマ
これはあからさまなデマで、そもそも人体内は通常で37℃な訳ですからその温度で不活化するなら感染が成立するはずが無いわけです
2.たくさん水を飲むことで粘液の分泌を促進させ、ウィルスに対抗できる/喉についたウィルスを洗い流せば胃酸で不活化できる>極めてデマに近い
これはアメリカで昔からある俗説で、それっぽいですが、科学的根拠はありません。ただ、今後の研究で正しさが確認されるかもしれないので判断が難しいです
このように個人では判断は難しいのが現状です。

慣れていないと医師ですら情報に踊らされることがしばしばあり得ます。
WHOのMyth buster(デマを打ち破ろう)ページを参考にしよう
今回のパンデミックではWHOは早期からinfodemicに対応すると述べ、自サイト内にMyth buster(神話・寓話の破壊者:デマのファクトチェック)ページを解説しています。一部を紹介しましょう
コロナウィルスは高温多湿では死滅しません

サーマルスキャナーは発熱している人には有効ですが、潜伏期間が2〜10日間あり、そのような人たちは検出できません

ニンニクではコロナウィルスは防げません

WHOは全世界向けに情報を発信していますので、日本では考えられないデマの例が出ていますね。日本人でニンニクデマに踊らされている人はおそらくいないでしょう。

絵がかわいくて取っつきやすいですね。
ファクトチェック・イニシアティブ(日本のサイト)を参考にしよう
ファクトチェック(Fact check)とは、インターネットやメディアで拡散された情報に対し、その真偽を正しい根拠に基づいて判断することです。
日本のNGOであるファクトチェック・イニシアティブは、アメリカのデューク大学が作成しているファクトチェックサイトデータベースに登録されており、日本に存在するファクトチェックサイトとしてはもっとも信頼できると言えます。
ファクトチェック・イニシアティブのコロナウィルス特設ページは日々更新、情報が追加されています。
一部紹介いたします
コロナウィルスをはじめとするウィルスはアルコールで消毒できない?

コロナウィルスに70%以上のアルコールが有効であるのはすでに有名です。コロナウィルスはエンベロープといって周囲に膜を持つRNAウィルスです。アルコールはそのエンベロープを壊すことで内部のRNAが露出します。RNAは極めて不安定で分解されやすいため、ウィルスが不活化するのを助けます。
抗マラリア薬のクロロキンが有効である

これを取り上げたのは、元はマラリア治療薬であるこのクロロキンという薬が有効というCell research(Manli Wang, 2020: Remdesivirというエボラ出血熱の薬とクロロキンがCOVID-19に有効という内容)の論文の結果を受け、アメリカのトランプ大統領がFDAに認証を急がせたというニュースが話題になったからです(CNN記事)。マラリアは赤血球に感染する寄生虫ですから、クロロキンはウィルス感染症の治療として直接的な効果は期待できませんが、おそらくオートファジー阻害効果が有効に働いたのでしょう。そんなに単純ではないと思いますが今後症例が蓄積して行く可能性はあります。
ファクトチェック・イニシアティブはネット情報が正しい、正しくないを提示してくれる
この2例を挙げたのは、明かなデマを否定している点と、正しいかもしれない情報は期待できるという点、いずれも提示している部分が評価できる点を強調したかったのです。

一つの参考できるソースになりそうですね。
いかがでしたでしょうか。情報過多の時代で、その波に飲み込まれないように正しく取捨選択するようにしましょう。
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